東京レトロ散歩

12th.Jan,2003

本郷菊坂界隈
樋口一葉の世界

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 セピア色の東京散歩の2回目。本当はどこかの例会に行くつもりだったが、午後から所用があっての半日散歩。
 後楽園で降りて文京シビックセンターに寄ってみる。日曜日なので役所は休みだが、展望ロビーは開放しているので今日歩く本郷界隈を鳥瞰する。
 西側にアマチュア・カメラマンが雑談しているので行ってみると、少し霞んだ富士山が新宿副都心越しに見えた。ここは富士山夕景の撮影スポットで有名。
 それにしても上から見れば本郷界隈はビルばかりに見える。これが今の東京の姿と思うと情けない。

 文京ふるさと歴史館に寄って、本郷界隈の予備知識を仕入れる。駒込やっちゃ場や団子坂菊人形のジオラマがある。

 ところが、春日から鎧坂の石段を登るあたりから急にレトロな雰囲気になる。
 坂の上から菊坂の下の道に出る。ちょっと狭い路地に入ると樋口一葉旧居跡。懐かしいポンプ井戸と古びた石段。一気にタイムスリップする。
 その先の炭団坂を登って行けば真砂町。旧町名は懐かしい響きがする。

 文化人が大勢投宿していたという菊富士ホテル跡は石碑がある。数え上げたらきりがないほどの文士縁りの高級下宿だったそうだ。

 炭団坂に戻ると左手の見晴らしがいいところが坪内逍遙旧居跡。坂を下って菊坂への石段に宮沢賢治旧居跡。いずれも案内板だけしか残っていない。
 その先から本妙寺坂に折れる。振り袖火事で有名な本妙寺跡が右手にある。途中から脇道に入っていく。この辺りは迷路のようだ。

 緩やかな坂を少し下ると、樋口一葉縁りの伊勢屋質店の土蔵がある。ここが菊坂で一番絵になる場所。
 すぐ脇の狭い路地もまた面白い。

 裏手から長泉寺の境内を抜ける。一葉や菊富士ホテルにいた文士たちも、高台にあるこの境内から夕日を眺めたり、散策したりしただろうな。
 山門から出ると菊坂通りに面している。

 さて、すっかり文学散歩の気分になったので、真っ直ぐ本郷通りに抜ける。
 東大正門から安田講堂に行ってひと休み。ここは加賀前田家の広大な上屋敷跡だ。三四郎池を回って赤門へと、東大構内散歩。赤門は重文指定されている。
 三四郎池も昔は立派な日本庭園だったのだろうが、これだけ荒れてしまっては見る影もないなあ。

 胸突坂は名前の通りの急坂。これを真っ直ぐ行って、鳳明館前を過ぎ、徳田秋声旧宅に向かう。そこから新坂に抜けてみる。
 新坂の坂の上に石川啄木縁りの下宿であった旧蓋平館。今は太平館という旅館になっている。
 啄木の歌碑が玄関脇にある。賢治さんにしろ、啄木にしろ、当時東京に出てくる気分の高揚は今の海外に出ていく以上のものがあったのだろう。

 さらに路地歩きをして、本郷三丁目で小休止。お昼になったので、そろそろ切り上げるつもりで、川上音次郎が一世を風靡した本郷座跡を見て、お茶の水まで歩く。
 あちこち見学しながらなので時間はたっぷりかかったが、距離は6kmほど。
 狭いエリアではあるけど、結構レトロな風景にも出会えた。今日は文学散歩だったな。

 赤門の正面の法真寺には一葉塚がある。一葉が「桜木の宿」と言って懐かしがったところだそうだ。
 樋口一葉は本郷からほとんど出たことがなかったと何かの本で読んだことがある。この界隈は樋口一葉に尽きると言っていい地だ。


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